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奇妙な縁~side大河~
わりと間近で話してみても、彼女は俺があの時の、コンビニの怪しい女と同一人物だとは微塵も気付いていない様子だった。
だからあえてこちらからも語らず、結婚相談所のただのスタッフとして接した。
とはいえ春呼さんの事を、少しでも知りたくて。
そして彼女と少しでも親しくなりたくて公私を混同し、その枠を越えてしまっているような気がしないでもないけれど。
プロフカードを確認した際に、遼河と同じ高校の卒業生だと気付いた。
アイツはよくも悪くも目立つ方だから、会話の糸口になればよいなと思って、車中でそれとなく振った弟の話題。
しかし俺とあの男が兄弟であると知り、激しく動揺する春呼さんを見て、ちょっと慌てた。
……もしかしたらこれは、悪手であったかもしれないと。
「えっと……遼河と過去に、何かありました?
アイツ高校時代、かなり荒れてたから」
見る間に変わる、春呼さんの顔色。
これは当時の遼河の事を、ただ『知っていた』というレベルの人間の反応じゃない。
春呼さんの眉間に寄せられた、深いシワ。
さっきまでは蒼白の面持ちだったはずなのに、今の彼女の顔色は真っ赤だ。
高校生の頃、母親は彼が片親だから等と言って後ろ指をさされる事のないよう、かなり厳しく育てていた。
だがそれが裏目に出て、表面上はおとなしく従順なふりをしながら、裏でアイツは遊び倒していた。
あの頃の弟は、俺が知るだけでも複数の女性と同時にカラダの関係を持っていた。
それも一人や二人ではなく、かなりの人数だったはずだ。
……もしかしてあの馬鹿、この子にまで手を出していたのかよ?
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