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「まぁ確かに、そうかもですけどね。
で。春呼さんの好みに合うような、素敵な人がいたってことですよね?」
だから私は観念して、素直に告げた。
「……いたには、いた」
満足そうに、彼女の愛らしい花の蕾みたいな唇が弧を描く。
しかし続いた言葉に、ぎょっとした様子で瞳を見開いた。
「ただしその人、結婚相談所のスタッフさんだけどね」
安里ちゃんはふぅと息を吐き、ふるふると左右に頭を振りながら、呆れ口調で言った。
「春呼さん。……あなたはいったい、何をしに婚カツパーティーに行ったんですか?」
さっきまでのキラキラアイズが嘘みたいな、死んだ魚のような目を私に向ける安里ちゃん。
視線が、痛い!
「仕方ないじゃない。
だって好みに、ドンピシャだったんだもん!
それにめちゃくちゃ性格も、良さそうだったし!」
涙目になりながら、必死に訴える。
だけど安里ちゃんは、手厳しく言い放った。
「好みだったのは、主に見た目ですよね?
ホント、イケメン好きなんだから。
そりゃあ性格は、良く見せるでしょう。
だって春呼さんは、お客さんなんですから」
自分自身、ずっと気になっていた問題。
彼が優しかったのは、安里ちゃんの言うように、私が客だったからに他ならないのかもしれない。
それに見た目がかなり好みだったから、というのも、否定のしようがない。
それこそあの人が芸能人だったとしても、全然推せる。
「それは、そうかもだけど。
……でも彼は、私がお客さんなのを差し引いても、普通にいい人なんだと思う」
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