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桃花ちゃんの家には、もう他の友だちも来ていた。
「わー、すごい! かわいい!」
「音楽も流れるし、音も出るんだよ」
「え、本当!?」
「わ! 声も出る!」
「本物みたい!」
「私も持ってみていい?」
にぎやかにしている中で、私もそう言ってみる。自分では絶対買ってもらえないような物だから、せっかくなら触ってみたい。
「いいよ。あ、でも順番ね、順番」
「うん!」
順番だろうが何だろうが、一番新しい変身グッズに触れるんだ。嬉しいに決まってる。
わくわくと私は待つ。
みんなすごく嬉しそうで、順番を待っている間もなんだか楽しい。
「はい、どうぞ」
「ありがとうっ!」
ようやく渡された変身グッズは、前の子がしっかり握っていたせいかちょっぴりあたたかかった。
「ボタン押してみなよ」
桃花ちゃんに言われて、ボタンを押してみる。テレビでやっているのと同じ音楽が流れて、本当に変身しているみたいだ。私は思わず変身ポーズを決めてしまう。
「やっちゃうよね。でも、本物みたいに服が変わらないのが残念なんだけど」
桃花ちゃんが言って、みんなが笑う。
最後に来た私で、一巡りしたらしい。みんな満足げな顔をしている。
そうして一息ついたところで、一人が気付いた。
「あ、それ、去年のやつだよね」
視線の先には、去年やっていたシリーズの変身グッズがある。
「もう古くない?」
それを見て、私は言ってしまった。
「そんなことないよ」
桃花ちゃんがムッとした声を出す。
「でも、お母さんが捨てなさいとか、言わない?」
「そんなこと言うわけないよ。新しいのあるからって、去年のが嫌いになるわけじゃないもん。去年のだって面白かったでしょ」
「うんうん。最終回すごかったもんね」
「葵衣ちゃんはもう嫌いになったの? 前、好きだって言ってなかった?」
「……それは、そうだけど」
そこまで言われて、やってしまったと思った。さっきまで盛り上がっていた空気が、下がってしまっている。しかも、みんなが私を見ている。
「ええと、私もまだ好きだよ!」
「本当?」
「本当だよ」
嘘じゃない。私も最終回がすごく面白いと思って、終わってしまうのがさみしかった。新しい予告もわくわくするけれど、それ以上にさみしさの方が大きかったのに。
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