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担任の暴露により俺たちのことが学校中に知れ渡り、お互い相当肩身の狭い思いをした。
しかしそれも1学期の終わりまで。夏休み前には受験シーズンが本格化し、みんな他人の家事情より自分の進路を気にし始めた。
「まったく、3年生の期末に赤点3つなんて。お父さんが聞いたら怒るんじゃないの?」
「怒られたらその時は残念ながら遺伝だって言えばいい。父さんも学生時代はあんまり勉強できなかったらしいから」
「はあ……しっかりしてよ」
あなたは大学に行くんだから。最近の唯美の口癖だ。
経済的に余裕ができたから唯美だって大学進学を目指せるはずなのに頑なに拒否していた。今だって大学入試の過去問をやっている俺の前で就職情報誌を開いている。
俺はあんまり頭がよくないから、むしろ唯美が大学に行った方がいいと思うのだけど彼女は頑なに「就職でいい」と言ってきかない。
「それ最近テレビでよくやってるやつでしょ」
「えっ」
自分たちの将来について考えを巡らせていたら、俺が飲んでいたコーラを指さした。テレビでよくやっているやつ、と言われてもいまいちピンと来なくて首を傾げる。
「何のこと」
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