ホワイトデーの一夜 side真

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「し、真? ちょっと…私こんなところ無理らから! ネカフェに泊まるらけのお金しかないの」 ビジネス街のど真ん中にあるホテルだが、正直このホテルに足を踏み入れたのは初めての事だった。 商業ビルの15階がホテルのフロントになっているらしい。 エレベーターを降りると、驚く程に洗練されたロビーが広がっている。 金曜日でホワイトデーの夜だ。予約もなしにこんなホテルに泊まれるのだろうか? しかし、ネカフェはダメだ。 そんなところに撫子を泊まらせる訳にはいかない。 幸いなことに、デラックスコーナーダブルという部屋が取れた。 トイレから戻ってきた撫子の手を引き、有無を言わさず21階まで上がる。 このホテルは昨年オープンしたところらしい。廊下の壁紙も絨毯もまだまだ新しく、明るかった。
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