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撫子をそっとベッドに降ろす。
すると、ぼんやりと目を開けた。
「……真、何してるの…」
「ここで寝ろ」
「…もう……私の方が小さいんだから、ソファでいいんだよ」
起き上がって、また戻ろうとする撫子を押さえつける。
「なぜお前が我慢しなきゃいけないんだ?
違うだろう?
迷惑をかけてるのは泉だ。
我儘を言って、撫子に不自由な思いをさせているのは俺の妹なんだ」
「し、真っ…」
撫子が戸惑いの声をあげる。
そこで俺は自分の行いにやっと気がついた。
完全に押し倒してしまっている…
撫子が顔を真っ赤にして、潤んだ目で見上げてきた。
化粧を取った素顔は、年齢よりずっと幼く見える。それなのに、物心つく前から見慣れた顔が女に見える。色をなくした唇が、妙に艶めかしく映る。押さえ付けている肩は、華奢で柔らかく温かい。
ドクン、と心臓の音が聞こえたような気がした。
まずい!
離れなければ!
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