林檎を求める彼女

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林檎を求める彼女

2012年冬 白い。無垢で純潔な白さ。その白さが私の目の前一面に広がっている。この雪を見ると、もう冬が来たのだとわかる。 「寒い・・・」 高校生にもなると、雪が降って喜ばなくなった。晴れているほうが、通学しやすいし、今履いているスノーブーツというやたらとふっくらした歩きにくい物も必要ない。 制服の上にコートを着て、マフラーをぐるぐる巻いている私はどこからどう見ても、雪だるまのような体型のずんぐりむっくりにしか見えないだろう。しかし、周りには短いスカートに素足の女子高生が何人もいる。私には、到底信じられない格好だ。小さい頃から雪国に住んでいると、他の地域に住んでいる人たちより寒さに強くなると言われている。 確かに、それは嘘ではないだろう。けれど、私は十七年ここで暮らしているが未だに慣れない。周りの人が驚くくらい、寒がりなのだ。雪国で成長しようが、私みたいな例外もいるということだ。 私はうっかり足を滑らせないように、一歩一歩、慎重に雪を踏みしめながら歩く。そのおかげか、無事に転ぶことなく学校に到着した。玄関の前ではクラスメイトが雪合戦をして楽しんでいる。元気だな~と思いながら、他人事のように、雪合戦の様子を見ていると、その中にいたクラスメイトのうちの一人がこちらに気づいた。 「おはよう、菫も雪合戦やる?」 「いや、あと少しでホームルーム始まるから遠慮しとく」 私がそう言うと、私に声をかけてきたクラスメイトは「え、もうそんな時間?」と焦り始めた。雪合戦に夢中で時間を気にしていなかったようだ。 「そうだよ。早く戻らないと先生に口うるさく怒られるよ~」と笑って茶化しながら、私は校舎に足を踏み入れたけれど、外とあまり変わらない。 私が通っている高校は古い公立高校だ。校舎内に入ったからといって、暖房の効いたぬくぬくとした空間が広がっているわけではない。              本日何度目かの「寒い・・」という単語を呟きながら、靴を脱ぐ。 下駄箱の中には入らないので、一番上に乗せる。そして、私は両手をさすりながら、急いで階段を上った。教室のドアを開けると、少し暖かい空気を頬に感じた。教室には小型のストーブが一つ置いてあるのだ。 「はあ~、生き返る」 教室もさほど暖かいわけではないのだが、廊下に比べたら、断然マシだ。
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