林檎を求める彼女

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自分の席の方を見ると、私の後ろの席に幼馴染の白澄が既に座っていた。そして、本来、私が座るはずの席。白澄の前には、私と白澄の腐れ縁の友達である陽翔が座っている。毎朝、二人は私が教室に来るまでこの席で仲良く話している。 そして、私がドアを開けて教室に入ると白澄はすぐに私に気づく。 あんなに、陽翔と楽しそうに話しているにもかかわらず、察知できる能力に毎度感心する以前、そのことについて「なんか怖い」と彼に言ったら、幼馴染だから視界に入っていなくてもなんとなく私がいることがわかると言われたことがあった。 今日も、その言葉通り、ドアを開けるとすぐに白澄がこちらを見た。 「おはよう。菫」 白澄が言ったのに続いて陽翔も「おはよう」と声をかけてきた。私もそれに返しながら、自分の席に向かう。それと同時に陽翔は先ほどまで座っていた席を立ち上がり、入れ替わりに、私がその席に座った。 「相変わらず、朝から仲良いね~。いつも何の話をしてるの?」 「そりゃあ、す・・・・」 「それより、菫はいつにも増して、動きづらそうな恰好してるね。マフラーぐるぐる巻きで苦しそう」 陽翔がいたずらな笑顔で何か言いかけたが、それを遮るように白澄が私の雪だるまのような格好に言及した。 「しょうがないじゃん。寒いんだもん。これがないと、凍え死ぬ」 と言いながら、私は首に巻いてあるマフラーに顔をうずめた。 教室に到着しても、なかなかマフラーやコートを脱ぐ気になれない。       「俺も、菫ほどじゃないけど、やっぱり寒いの苦手だわ~。北海道出身全員が寒さに強いわけじゃないんだっつーの」 私は陽翔の意見に同意し、彼の言うことにひたすら相槌を打って聞いていた。 まあ、彼はそんなこと言いながら、毎年雪で遊んでは誰よりも大はしゃぎしているけれど・・・・。 その後、授業開始のチャイムが鳴り響き、陽翔は「じゃあ、また後で」と言いながら、自分の席に戻っていった。彼の席はここの席とは真反対の位置にある。壁側の前の席だ。
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