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「私にも態度が変わらないんですから、さすがですね」
内心複雑な思いを抱いた隼人に、彼女は重ねて告げて来た。感心したような台詞と声に一瞬言葉に詰まってしまう。
「そんなの当然じゃないか? ……というか、私にもって何? 葛城さん、別に何の問題もないだろ?」
むしろ相手によってあからさまに態度を変える者がいたら、そちらの方が要注意なのは言うまでもない。
「そういうところが──」
途中で何かを飲み込むように口を噤んだ唯が、ふいに二、三歩先へ駆け足で進んだ。
「葛城さ──」
咄嗟に声を掛けた隼人に振り向いた彼女の、その輝くような笑顔に心を射抜かれる。
こんな顔で笑うのか。
初めて見た気がする、表面上作ったものではない明るい笑み。
彼女が隼人のグループに入り顔を合わせた日からずっと、綺麗な子だとは思っていた。
でもこれは、知らない。
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