【4】

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「さっきの話ですけど、いいですか?」  そろそろ本題に移った方がいいのか? と隼人が迷っていると、唯が仕切り直して来た。 「あ、う、うん。もちろん」  まさか彼女から振って来るとは思わず、少し動揺はしたがちょうどいい。 「仕事の話じゃ、なかったんですか?」 「違うよ。最初にちゃんと言っとけばよかったんだけど、それはゴメン。──これは完全プライベート。俺が葛城さんとその、話してみたかったから」  自分としてはかなり思い切って口にした隼人に、唯は首を傾げた。 「仕事じゃない話って何かあります?」  まったく察してくれない彼女に、隼人はもうこうなったら、とさらに勇気を振り絞って告げた。 「俺は葛城さんが気になってたというか。だから、君のこといろいろ知りたくて、話をしてみたくて」 「……私を」  それはどういう反応なのだ!?  彼女が特に感情を乗せずにぽつりと零した声に、真意を量りかねて緊張が高まる。
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