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「タイプ、って......?」  一応、変わっているという自覚はあるようだ。  この子は他人の評価など一切気にしていないと見做していたので正直予想外だった。 「たとえば、うーん、そうですね。アルバイトに来てる坂崎さんみたいな人ならわかります。可愛らしくて物静かで、でも生真面目でしっかりしてる。すごくいい子ですから」  まゆみが可愛い良い子で好かれそうだというのは同意する。だからこそ、あの二人には目障りだったのだろうことも。 「私、昔から『普通の女の子』みたいにできないんです。だから友達も少ないですし。こういう服も友達に見てもらうときは別として、お店の前に飾ってあるのそのまま買ってるんですよ。職場で何を着ればいいのか自分ではわからないので」 「……そ、それは別にいいんじゃないかな? 所謂『マネキン買い』ってやつ? そんな珍しくない、と思う、し」  唯の綺麗な容貌と長身でスマートなスタイルによく似合う、オフィスカジュアルと呼ばれるファッション。派手過ぎず地味過ぎず、それこそ「ちょうどいい」お洒落な印象だった。  なるほど、それも当然だったわけか。  いや、そんなことはどうでもいいいのだ。 「一般的なタイプとか、他の女の子がどうとか、そんなの俺には何の関係もないんだよ」
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