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【1】
「お帰りなさい、大槻チーフ!」
外回りから戻ったところを、新入社員の加西 卓也に課室のドアの前で迎えられた。
「加西くん、どうしたの? なんで廊下に、……留守中何かあった?」
「あの、僕どうしていいかわからなくて。チーフが戻られるのをお待ちしてたんです!」
応じた隼人に、焦った様子の彼はちらちらとドアに目をやりながら話し始める。
「さっき、若宮と宗がアルバイトさんに──」
若宮 亜紀と宗 小春は、この卓也と同じく新入社員だ。
仮配属は数人ずつで回ることになっており、『仲間』がいるという環境も大きいのか。隼人にとって二人は、同じ新人の卓也と比べても甘えが抜けない部分があるように見受けられた。
「アルバイトって、うちの坂崎さんだよな?」
「はい、そうです。なんか聞えよがしのイヤミっていうか。『女子大生のお遊び気分で来られちゃ迷惑~』みたいなことコソコソ言ってて」
季節的なイレギュラー案件のために、昨日から短期で来てもらっている学生アルバイトの坂崎 まゆみ。
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