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量は多いがごく単純作業なので、派遣に頼るまでもなく伝手のある近隣の大学に毎年求人を出していた。
普段から付き合いがあるため大学側も心得たもので、地味な内勤雑務にも適応できる几帳面な学生を送ってくれている。
これまでも所謂『外れ』に当たったことはなく、こちらとしては簡単な面談程度で安心して採用していた。
「……坂崎さんは真面目で手も早いし、単調な仕事でも文句言わずきちんとこなしてくれてるだろ? お目付け役がいないとサボるようには見えないんだけど」
「僕もそう思います。ただの嫌がらせですよ。可愛い人だから、たぶん……」
「あー、なるほどね。どっちが学生気分だよ」
くだらなさに脱力して、つい声に呆れが滲んでしまった。
仕事中は、なるべく負の感情を顕わにしないよう気を付けていたのだが。
「チーフがいらっしゃるときはあの二人も大人しくしてますから。でも今日はたまたま他の先輩方も席外されたタイミングで、スペースに僕入れて四人だったんで調子に乗ったんじゃないかと」
卓也も心なしか居心地が悪そうだった。
同期入社組がそこまで幼稚だとは思わなかったのだろう。
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