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「課長に報告した方がいいのかもわからなくて、僕。葛城さんはそのあとも平然とされてて、なんか蒸し返せなかったんです。それでとりあえず大槻チーフに」  どうやら居心地が悪くて、課室を出て来てしまったというところだろうか。 「そうだな、課長には今回はまだいいかな。若宮さんと宗さんには、ちょっと僕から話してみるよ。あと、このケースは同期なんだし君も注意くらいできないか?」  彼に頷いて、隼人は気になったことを尋ねてみた。 「すみません。本当にダメなんですけど、僕は女同士の揉め事に突っ込んで行く勇気がなくて……」  いや、単に一方的な攻撃で『揉め事』ではないだろう。  そうは思ったものの、卓也の気持ちもわからなくはなかった。  せめてアルバイトの学生は守ってやって欲しいが、まだ研修中の彼にそこまで求めるのは酷かもしれない。  どちらにしても、亜紀と小春のことはこのまま見過ごすわけにはいかなかった。  気が重くはなるものの、場のリーダーとして人間関係の調整は避けて通れない責務なのだ。
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