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実:で、何でお前一緒の席に座るんだ。
映:何でって、君が誘ってくれたんじゃないか。
実:誘ってないが!?
映:誘ったさ!君が 昨日、「行きつけの店に連れてってやるよ!キリッ」って言ったんだから、わざわざこんなとこまで来てやったんだゾ?
実:あれ……そうだったっけ?そういえば、そんなことも言ったような……言ってないような……?
映:みーのる?オムライス、食べないの?せっかく綺麗なお姉さんが文字書いてくれたのに……
実:え?あ、あー普通に食うさ。うん。
映:もしかして、オムライス嫌いなのカナ?
実:まさか、いつも頼んでるんだぞ。
映:ふーん……じゃあ、あれかな。――気分が乗らない、とか。
実:あー……あ、それだな。しーちゃんが書いてくれなかったからだ。うん、きっとそうだ。
映:へぇーえ……。その「しーちゃん」ってのが、君が恋焦がれている人なんだ。ガチ恋って言うやつ?
実:は?ちげぇし!ぜんぜんそういうんじゃ……
モブメイド:お待たせいたしました!クリムゾンアップルのエデンパフェで御座います!
映:わぁい!お姉さん、それ僕の僕の!うわぁ、とてもおいしそうだねぇ!
モブメイド:ごゆっくりお過ごしくださいませ!……うわ、超かわいぃ!!!
映:そいでそいで、実は「しーちゃん」のガチ恋じゃないなら何なの?ストーカー?
実:はっ、俺をそこらのガチ恋キモオタと一緒にすんな。「しーちゃん」は俺の彼女だよ。
映:君は結構面白い嘘をつくんだね。
実:いや嘘じゃないわ!「しーちゃん」は俺の彼女だっての。
映:えー……君みたいのに彼女ぉ?ないない、そりゃないもん。ちゃんと鏡見たことある?
実:そんなもん毎日顔突き合わせてるわ!自分で言うのもアレだがな、俺の顔は端正に整ってるんだよ。昔からずっとモテてたし、この店のメイドさんにも人気なんだ!まあ、俺はしーちゃんにしか興味がないけどな。今日だって、出勤してくる彼女の為にわざわざ来たんだから。
映:まあ、君の自己評価は著しく間違っているとして。一途なのは認めるよ。一途と言っても、相手が求めてなきゃ迷惑だがね。
実:だから、俺の彼女だから……てか、別に間違っちゃいないだろ。事実を言っただけだ。
映:いや?君は随分醜い奴だと思うけれど。
実:それはあれか、心が汚いとか、そういうことを言ってるのか。
映:……まあ、それもそうだね。
実:ははっ、そうかそうか。まあ、君はまだ子供だからなぁ……人の価値は中身で決まると信じているのだろうけど!!でもそうでもないさ。人間の大事なものなんて、所詮見た目だよ。いいや、違うな……どれだけ中身がよかろうと、ブッサイクな奴のことなんて誰も知ろうとしないのさ。そもそも、知ろうとしてくれないのさ……
映:なんだか、恨みがましさを感じるね。君、整形でもした?
実:してないさ。して……してないさ。
映:そう。ならいいけど。取り敢えず、僕のパフェあげるから、これ食べて落ち着きなよ。
実:は?なんでさ。
映:君、今林檎の気分だろう?
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