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映:草薙映。
実:くさなぎ……うつし?俺の知り合いにそんな奴いたっけか……
映:いや、君と会うのは初めてで合ってるよ。僕の名前も、顔も、見覚えなくて当然さ。
実:そうか、そりゃそうだ。お前みたいな奴、一度見たら忘れらんねぇもん。
映:本当?……嬉しいこと言ってくれるね。君と僕の関係はそうだな……ネッ友!そうネッ友さ!あれ、ネッ友って言葉、通じる?
実:いや普通にわかるわ。ネッ友かぁ、そうかそうか。ようやく合点がいったよ。
映:それでさ、君が「明日秋葉原行く」とか呟いてたから、連絡して、今日会ったんじゃない。
実:あー……そうだったっけ。そう、ね。そうかもしれねぇわ。悪い悪い。
映:全く酷いな……で、この後どうするの?
実:そーだなー……まぁ適当に
志保:実君!?
実:ん?あ!しーちゃん!これから出勤だったの?あちゃー……じゃあ待ってればよかった。さっき、店に行ってたんだけど、もしかしたら今日休みなのかと思って、帰っちゃったんだわ。
志保:……え?店に行った?実君、なんで私のバイト先知ってるの?
実:え?そりゃ知ってるよ。彼氏なんだから。
志保:……調べたの?
実:え?え?うーん……調べたって訳じゃないんだけど……
志保:え、きっもい。マジ引くんだけど。彼女のバイト先調べて行くとか、もうそれストーカーじゃん。あり得ないんだけど……
実:え、いや、違う違う!俺は君との時間を増やしたくって!!
志保:え?私との時間……え、今なんて言った?
実:だから、君との時間を増やしたいんだよ!
志保:……!
実:しーちゃん?
志保:あんた……誰???
実:……え?
志保:あんた誰!誰!え、え、マジで誰!?
実:だから!俺は実だよ!風間実!君の彼氏の!
志保:私の彼氏は!そんな人じゃない!!
実:え、ちょっちょっと待って!おい!
映:……彼氏じゃないじゃん、やっぱり。
実:い、いや、違うよ!なんかしーちゃん、様子が変だった……
映:はぁ、恋は盲目とはよく言ったもんだよ……
実:なんだよそれ、どういう……
烏丸:メイド喫茶『メディポッポ』のご利用は如何ですか?
実:ああ、いや、今そんな気分じゃ……って、どぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!
烏丸:どうかされましたか?
実:どうかしてんのはお前だろ!!なんて汚っねぇコスしてんだ!!
烏丸:お帰りなさいませ♡ご主人様、んまっ♡
実:お帰り下さいませ!!汚メイド様!!
烏丸:土に還るのは……テメェだ!!
実:えっ!
映:実君!そっちじゃない!上だ!
実:え?え?
鷲峯:はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
実:うわ!!
鷲峯:烏丸ぁぁ!!
烏丸:折鶴!良いんだな!?こいつがアダムで、いいんだな!!
折鶴:間違いない!イヴは保護した、行け!烏丸!!
烏丸:どりゃぁぁぁ!!――ぐはっ!!
鷲峯:烏丸!
映:動くな。
烏丸:草薙……映?
映:困るんだよねぇ、人の獲物に手を出されちゃ。ねぇ、鳩ポッポちゃん達?
烏丸:知った事か、そいつは危険すぎる。野放しにしておく訳にはいかない……!
映:いい心掛けだ。事態を蔑ろにしないその姿勢、大事にするといい。ただ、人の恋路もまた、蔑ろにしない方がいい。
鷲峯:はっ!!――ぐあっ!
烏丸:鷲峯!
映:おやお嬢さん、いい香りがするね。
烏丸:くそっ!おぁぁぁぁ!!
映:凄い迫力だ。かっこいいねぇ。濡れちゃうじゃないか……ばっしゃーん。
烏丸:んお!ぬあ……
折鶴:烏丸!鷲峯!
映:こういう状況、今の子達は「マジやばくね」とか言ったりするんだろうか、ねぇ、折り紙くん。
折鶴:……折鶴だ。
映:失敬。私はね、君達の敵じゃないよ。彼の味方ではあるけれど。
折鶴:……なにが言いたい。
映:僕は恋する者の味方ってだけさ。君達は、アダムを恐れているんだろう?今回は、アダムが林檎を持っている訳だし。約束するよ、アダムは私が始末する……だから、今回は手を引いて貰う。
折鶴:私達が始末するのは、お前もだぞ、草薙映。
映:ほぉ、そいつはまた。でも二兎……いや、三兎追ったところで、君達は取り逃がすさ。諦めたまえ。まあ、追っているのは蛇だろうけど。
折鶴:!!
映:だがな、それもやめときたまえ。あの蛇は、会おうとして会えるものじゃない。彼女はまるでツチノコだよ……どうしても会いたいなら、面白い恋でもするんだな。その時はまた、私が助けてやるさ。
折鶴:あんたは何者なんだ……
映:さぁね。自分のことわかっている人間なんて、この世に居ないさ。彼が溺死してしまうぞ、この辺で終わりにしよう。ねぇ、折り合いくん?
折鶴:……わかった、手を引く。
映:よろしい。
烏丸:がはっ!!ごほっごほっ……
鷲峯:はっはっ!がはっ!はぁはぁ……
実:映……これ……
映:私から離れないでくれたまえ。さて、では我々は失礼するよ。
鷲峯:林檎!?貴様、なにものだ!!
映:さぁね……わかっていたら、こんなことはしてない。
烏丸:やはりテメェはぶっ殺す……
映:無理だよ。今日、私と彼は、彼の自宅で朝から夕方までゲーム三昧なのだから、秋葉原には居ない。
烏丸:は?
映:だから、秋葉原調査に来た君達は、空振りに終わる。
折鶴:どういうことだ。
映:そのまんまさ。君達は、彼と私の運命に巡り合わなかった。君達は、事件の原因を突き止められず、事件は勝手に解決する。だから、気にしなくていい。
映:ごきげんよう。
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