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映:
結局、蛇のことはわからず仕舞い。
見付かるとは思って居なかったが。
尻尾の一つも掴めなかった。
いつも、多分いつもそうだ。
彼女が這って行った後を追うだけ。
同じところを歩かされている。
とぐろを巻くように、いつも。
同じ痕を追っている。
鷲峯:草薙映!!
映:おや
映:あらお嬢さん、初めまして。
鷲峯:とぼけなくていい、私は、林檎の権能なんか効かない。
映:……こいつは驚いた。芳醇な香りがすると思ったら、君も林檎を持っていたのか。それも、かなり熟成されている。
鷲峯:草薙映……私は貴方に初めて会った筈だ。なのに、胸がざわつく……
映:おや!それはもしかして恋かも知れないね。なんだい、一目惚れでもしちゃったのかな?
鷲峯:さぁね……貴方、何者なんだ。
映:さぁね……自分のこと、よくわかってる人間なんて居ないんじゃないの。
鷲峯:思い出せない……それでも、私は貴方を追っている。きっと、そう。
映:そうかい。私はそうでもないけど、それでも貴女はどこか懐かしい気がするよ。
蛇神:これはまた、面白い出会いをしたな。
映:そうなのかい、出会いがあったのか。ははっ。
いつからかきっと、
恐らくずっと、
取り憑かれたように追い続けている。
いつどこで、どんな風に出会って、どうして惹かれてしまったのか。
姿形さえわからない、あの蛇を。
〇おわり
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