あと一歩、踏み出す勇気を僕にくれ

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ふと、考えた。 いや、考えてここに来た。 ここで1歩、前に踏み出せば死ねる。 案外簡単に人って死ねるんだ。 僕に残されたものは何も無い。 君は遠くに行ってしまった。 きっと君は僕のことを既に忘れてしまったろう。 視界が、霞んだ。 その涙1つ1つに見える景色に足が竦む。 その風景を、花々を見ていたいと思ってしまう。 あぁ、嫌だよ。 電車がやってくる。 この位置では助かってしまう。 また生き長らえてしまう。 嫌だ、嫌だ、 すぐそこまで運命が迫る。 それに反射して、1歩引いてしまう。 誰か、誰かこの背中を押してくれよ。 これ以上戻りたくないんだ。 繰り返したくないんだ。 この物語を進めたいのに。 進めたいのに。 あぁ、これだけ。 これだけでいいから 他に何も求めやしないから あと一歩、踏み出す勇気を僕にくれ。
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