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 ボルグの投資が失敗し、多額の借金を背負ってしまった。  借金の相手は、こう言った。 「なら、お前の妻を娼婦として働かせればいい。なに、二年ほど働かせれば、借金をチャラにしてやろう」  破格だと思った。  邪魔な妻を差し出せば、今の暮らしは保たれる。アメリアがいない間、セーラを屋敷に迎えることだって出来る。  ボルグは屋敷に戻ると、アメリアに言った。 「この家のために、娼館で働いて欲しい」 「……え? ど、どういうことでしょうか?」 「相手は、今回の借金をお前の働きでチャラにしてやると言っているのだ。なに、二年だけだ。家を守ることは、妻として大切な役目だろう? それにお前は子を成せぬ身体だ。妊娠も心配ないしな」 「…………」  彼女はしばらく俯いていたが、やがて弱々しく頷いた。  それを見て、全ての問題が解決したと思い、ボルグはホッとした。  互いの寝室に戻る際、アメリアが躊躇いがちに口を開いた。 「あ、あの、旦那様……せめて娼館で働く前に、貴方に……抱いて頂きたい……貴方に愛された記憶が欲しいのです……」  今にも泣きそうな表情で、こちらを見上げる妻。しかし、貞淑であるべき女が、自ら抱いて欲しいと要望を口にするのが気持ち悪く、ボルグは嫌悪感を露わにしながら答えた。 「娼館には、お前が最後に男を受け入れた時期を伝えている。男に抱かれていないその期間が長ければ長いほど、お前の商品価値は上がるそうだ。今私が抱けば、お前の価値が下がる。だから無理だ」 「そう……ですか……」  ガックリと項垂れるアメリアを残し、ボルグは部屋の扉を閉めた。
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