雪代に浸る

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◆◆◆ 「……さて、時間もないし、さっさと検体の採取と設備機器の点検を済ませようぜ」 「そうだね」 今日の予定を頭の中で書き出したアレクが肩に食い込む重い荷物を背負い直し歩きだすと、その後ろをアレクと変わらぬ大きな荷物を背負ったクリスが慣れた足取りでついてくる気配がした。  この大陸で一、二と謳われる大きな領土と繁栄を誇る王国内には水源やそれらを下流に住む人々に供給するための古代超魔術機器の設備が多数ある。それをアレクが知ったのはこの部署に配属されてからだ。  実際、アレクもクリスもその他の仲間達も毎日の様にそれらを転々と旅して、調査や点検、整備をしている。 元々、古代超魔術の設備だけあって、普通の人間には立ち寄れない場所だったり、見つけることすらできない仕掛けが盛りだくさんだ。しかし、これらが王国を支えている。定期的に魔力を通し機器の状態を確認しなければ王国の富はみるみる間に目減りすることだろう。 特に、この水源は神々の聖杯と呼ばれるだけあって、近づくにも多量の魔力を用いる複雑な儀式を要する。 王都を旅立つ時は10人近くの特別編成だが、ここまで辿り着けるのは室長が年齢を理由に同行しなくなった1年前から二人だけになっていた。
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