雪代に浸る

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クリスは表向き、孤児院育ちの捨てられていた子だ。室長が偶然訪れた孤児院でクリスの稀な魔力と優秀な頭脳に気が付き、後見人となり王都の学園に通わせたという事になっている。 けれど、紆余曲折あってようやくアレクがクリスと心も身体も交わり深い仲になった翌日。本当はクリスがこの神々の聖杯に現れた精霊から預けられた子なのだと、室長から直々に一人呼び出されたアレクは説明された。 室長の前任者であった某伯爵が湖に現れた精霊と交わった時に精霊に宿った子だと言われれば、確かに、クリスは普段眼鏡で地味なイメージを主張しているが、二人の時にだけ見せる本来の華奢で美しい姿から想像に難くない。しかも、ふんわりとした栗毛の髪の毛は某伯爵家の血筋と言われればさもありなんと言った具合だ。 クリスは自身の出自を知っている。そしておそらくはアレクのそれも勘付いているだろう。だから二人はずっと一緒には居られないとクリスは思っている。
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