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ここまで王都から北西に馬で5日、更に歩きで3日。神々の聖杯と呼ばれる大きな湖は王都の神聖かつ大切な水源だ。
過去には精霊様達も戯れていたという水面には遅い春の訪れを新緑で謳歌する美しい山々の景色をうつしだしている。
「あっちの方はまだ雪がかなり残っているね」
「ああ。今年は雪が多かったから雪解け水も多いな」
たっぷりと水を貯めこんだ湖面の少し上。クリスが指差した山並みには昨年以上に少し茶色みを帯びた白い冬の名残がまだくっきり残っている。
アレクがクリスと共にこの地に足を運ぶのも今回で7回目。
王につかえる魔術師団の中でも研究、調査に特化したこの部署にアレクが飛ばされてから、かれこれもう3年だ。
アレクはもともと魔術師団の中でも花形である魔術騎士団に所属していた。しかし3年前、若気の至り……というか、少しやり過ぎてしまい、ほとぼりが冷めるまでとこの部署に飛ばされた
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