雪代に浸る

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明日の装備を手分けして確認するために、アレクは旅の仲間となる予定のロイと厩に向かいながら、そういえば肝心なことを聞いていなかったことを思い出した。 「明日から外回りとは聞いたが、どこに何をしに行くんだ?」 ロイは街で商店の店先に居てもおかしくないような、魔術師団としては珍しいくらい明るく社交的な性格のようだ。 先程の挨拶の際、アレクが今回のメンバーで一番年上とわかったが未経験者だし、左程年の差もおおきく無いから今回はみんな敬語は無しで話そうという取り決めを決めたのもロイだ。こういう気遣いをしてもらえると馴染みやすいから有り難い。ちなみにクリスは予想通り最年少でアレクより五つ年下だったが、きちんと成人していた。 「あれ、聞いてない?……あ。室長も今日から外回りだから慌ててたんだな……。んーと、これから1ヶ月かけて東の山脈を縦断して水源地をまわってくるんだ」 「東の山脈ってドラゴンの寝床の側の?!」 これが、アレクの馬ねと案内されつつ言われた地域に思わず驚きを隠せない。 最近活発になった南国との交易を介す東の帝国への最短かつ安全な街道の確保のため騎士団、魔術騎士団共に共同戦線をはったのは記憶に新しい。 山脈周辺の魔物達は田舎騎士や田舎魔術師ならば手強いだろうが、アレク達には左程問題は無かった。それよりもも問題だったのは古来より東の山脈を寝床にするドラゴンだ。こちらが手を出さなければ彼らは下等だと判断する人間の行動の邪魔はしない。そのギリギリのラインを見極めるのが非常に大変だったのだ。結局ドラゴンのご機嫌を伺い、東の山脈の切れ目であるかなり南側の谷間の位置取りでしか街道は確保出来なかったのだ。
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