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「そうそう。あの山脈を縦断するんだよ。あ……、僕達はドラゴンには護り手認定されてるから多分襲われない?……から大丈夫だよ?」
「多分……」
微妙に不安を煽るロイの言葉に動きが止まる。そんなアレクを馬が笑っている。こいつ、この旅でぜってー俺が上だって教え込んで手懐けてやると決意するのを忘れない。
「うちはさー、仕事内容的に魔術式の研究や建物の研究、植物や気候の研究とかしてるから同じ魔術師団の中でも、弱っちいやつが多いって思ってるやつが多いんだけどさ」
馬と主導権争いをするアレクの隣で穏やかに馬を撫でながらほへっとしたノリでロイが世間話でも話すかのように話はじめた。確かにアレクもその認識でここにきたし、屋敷の侍従達や学友達もアレクの異動に対し同じ様な反応を見せていたと話に耳を傾ける。
「……まあ、確かに研究者の中には学問を専門にしている魔力無しのやつも居るしあながち間違えではないんだけど。うちみたいな遺物管理してるところはさ、古代超魔術を相手にしなきゃならないから結構ハードなんだ。室長はボケた爺様に見えるが2代前の魔術師団総長だし、俺だってこう見えても5年前までは魔術第一騎士団一番隊の副隊長だった。一緒に行く奴らも多少の違いはあれど実力は同じ様なもんだ」
言われる内容に合わせて厩の馬たちが徐々に大人しくなっていく。ロイに視線を向けたアレクにくすりと笑ったロイの目は笑ってはいなかった。
「……だからさ、研究所だからって甘くみて足をひっぱらないでくれよ、王子様?」
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