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(クリスマス...)
既に如月の視線は、彼らからは外れていた。
正面に車のライトが見えると、ふる、と華奢な肩が震えた。
「…寒…。コンビニ寄るかな…」
もともと炊事は苦手だし、せいぜい作れる鍋も、今日は面倒で何もする気にならない。
(何かあったかいものでも買って帰るか。…でも、あんまりお腹空いてないから、ま、いいか)
如月がくるりと背を向けて歩き出すと、ふと銀髪の青年が顔をあげ、自宅に向かって歩き始めた如月の後ろ姿をその視線が追った。
「カヤト?」
可愛らしい少女が、足元で顔を真上に上げて銀髪の青年を見上げた。
「ん?おい、危ねえって!」
顔を上げすぎてバランスを崩した少女を受け止め、苦笑する。
「お前なあ…、ふふ。ほんと、ホノは葉月そっくりだな。あー、星?それ先か?…ほら」
大きな金の星を持ち、期待を込めた目でわくわくと自分を見上げる少女を軽々と抱え上げ、木の頂上に星を飾らせてやる。
「それってさ、普通、最後の仕上げじゃね...?」
一つも飾りのないシンプルな木の頂上に、キラキラの金の星がちょこんと乗った。
「いいじゃない、順番なんて。ほら、ホノ。おいでー」
青年の後ろから、葉月と呼ばれたショートカットの女性が声をかける。
「まあねえ...」
(どーでもいいけど)
「きれーーー‼︎」
母親に抱き上げられた少女は、満足そうに微笑んだ。
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