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炊飯器の中の地獄事件。 20220531
西の茶店
二十数年前。ずぼらだった私は、炊飯器でご飯を炊いたことを忘れていた。
一度食べて、残ったご飯の処理をすっかり忘れていたのだ。何か月も。
元々白飯が好きでない私は、気まぐれでしか炊飯器を使わない。
気が向いて使っても、食べきれずに残ったご飯を忘れてしまうことが多々ある。
そして忘れていることに気が付いたのは、半年ほど経った頃だった。
あれ、そういえば、炊飯器、いつ使ったっけ・・・?
保温スイッチは切っていた。
その後半年放置したご飯がどうなるか、想像できるだろうか?
開けたくはないが、開けないわけにもいかない。
ドキドキしながら、私は炊飯器の蓋を、そーっと開けた。
そこには、この世のものとは思えない地獄が、広がっていた。
白かったご飯は真っ黒な液体になり、その黒い液体の中には、うようよと大量に白い蛆虫が蠢いていたのだ。
ぎゃあああ!!
炊飯器の中が地獄になってるうぅ!!!
気持ち悪いいぃ!!
ばしん、と勢いよく蓋を閉めた。
とてもじゃないが、じっくりと直視できない有様だった。
こんな炊飯器、もう使えない。
ガムテープを持ってくると、私は炊飯器をぐるぐると巻いた。
「開けるな危険!!」そう書いて、ゴミ捨て場に捨てた。
蛆虫たっぷりの炊飯器。
誰も開けなかったらいいけど、開けたら大惨事だ。
まさかこんな身近に地獄が存在するとは。
しかも人様には言えないような、恐ろしい炊飯器地獄。
私の中に芽生えた、壮絶な、罪悪感。
了
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