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「颯、あの高校生知ってんの?」
知らない。今日が初対面に決まってる。
「おい颯、あのお姉さんすごかったな」
ああすごかった。なんでこうなったんだか。
「なあなあ颯!お前あの女子高生とさ……」
「うるさいな!知らないよあんなの!」
とうとうガマンしきれなくなって、おれは巧たちに言い放った。
それでも巧たちは、さっきの地獄がよっぽど面白かったみたいで、全力で話題に食らいついてくる。
「おい、照れるなよー。ほんとは嬉しいんだろ、知ってるっつーの」
「ふざけんな。あんな訳のわからない高校生、お前らだってイヤだろ! そもそも女子とかどうでもいいし!」
「えー! お前、修学旅行の夜、山口が好きだって言ってたじゃん」
「あっ、巧、ばか。山口ってあれだろ、この前三組の遠藤と付き合いだした山口杏奈だろ」
「あ、そっか。いっけね、ごめんな颯」
「うるせえよ、お前らいいかげんにしろ!」
ここにきて山口杏奈の名前を出されるダブルパンチに、おれの心はダウン寸前だった。
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