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「ねぇ、もう昼だけど。いつまでいる気?」
亜希子さんとお話していると、リビングのソファでゲームのコントローラーを握りしめた颯くんが、わずらわしそうに言い放った。
時計を見ると、針は、十一時を回って久しいところだった。う、うぅ……。
「嫌だ、勉強したくない、もっとここにいたいぃ……」
「てか、岬、受験いつだっけ?」
そ、それを聞くか……。
「えっと、次の土曜日、です……」
その言葉を聞いて、颯くんが操っていたマリオカートが大クラッシュを起こす。
「はぁ!? 一週間もないじゃん、ガチでやばいじゃん。マジで帰れ、落ちたら深町家としてもシャレにならん」
ぐっ。そう言われちゃうとなぁ……。
「でも、わたし、颯くんのこと定期的に摂取しないとがんばれないから!」
「なにふざけたこと言ってんの。お母さん、コイツ、さすがにダメだろ!? 出禁だ、出禁!」
「ひ、ひどいぃ……」
亜希子さんは、そんな颯くんを見て、あきれた顔をする。
「そんなこと言ったら、あんたも木曜から期末試験でしょうが。偉そうに言える立場じゃないでしょう!」
「うっ」と言葉を詰まらせる颯くん。
マリオはコースを外れて、銀河の彼方へふっとんでいく。
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