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颯くんの期末試験が終わった、水曜日の朝。
颯くんがテニス部の朝練に行くより前、七時十三分。
わたしは、いつものように、颯くんの家の扉を、コンコンとノックした。
「おっはよーございまーす!!」
がちゃんと扉を勢いよく開けて、元気に挨拶をする。
そこには、かわいそうなことに、ちょうど二階から降りてリビングの扉を開けようとしていた颯くんがいた。
彼の目が、ぎょっとしたように見開かれる。
「あっ、おはようダーリンっ!」
「ふっ、ふざけんな! 帰れ、帰れ帰れ帰れっ!!」
まったく、ツンデレさんなんだから。うちのダーリンってば。
……なんて。
心の中で冗談を言って、わたしは、明るい笑顔で、そそくさとリビングへ逃げる颯くんを追いかけた。
あ、ちなみに、試験結果のことだけど……。
わたしは無事、ダーリンのための美味しい朝ごはんを作る夢を、諦めずに済んだのだった。
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