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「あっ、あたしね、ここの吹奏楽部にどうしても入りたくって! 受験したんだ!」
おれの考えを読むように山口が答えるから、思わずぎょっとしてしまう。
……って、いやいや。最初から怖気づいてどうするんだよ。
山口しかいないなら、簡単なことだ。山口の口封じさえすれば……!
「あっ、深町くんといえば、あの、めっちゃ年上の彼女さん元気~?」
いきなり爆弾放り込んで来やがった!!
初日から女子と話してる男子なんておれしかいないから、周りのクラスメイトたちは、おれたちの話にこっそり聞き耳をそばだてている、のがわかる。
いや、違う、違うんだみんな、そして山口! みんな落ち着いて、おれの話を聞いて……!
「あいつは彼女じゃないし! 第一おれ、あのとき、山口のこと好きだったし!」
……。
…………。
…………あれ?
……おれ、誤解を解こうと必死すぎて、ついでにめっちゃ余計なこと言ったか……?
「えっ、なっ、なに言ってるの深町くんっ……!?」
目の前の山口が、明らかに動揺している。
「えっ、なになに!?」
「今、告白したっ!?」
「うっそ、初日で!? しかも公開告白!?」
クラスメイトのガヤガヤのボリュームが、どんどん大きくなる。
こ、これ、おれ……、完全にやらかしたーっ!!
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