Ⅲ 颯(高校1年生)

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「あっ、あたしね、ここの吹奏楽部にどうしても入りたくって! 受験したんだ!」 おれの考えを読むように山口が答えるから、思わずぎょっとしてしまう。 ……って、いやいや。最初から怖気づいてどうするんだよ。 山口しかいないなら、簡単なことだ。山口の口封じさえすれば……! 「あっ、深町くんといえば、あの、めっちゃ年上の彼女さん元気~?」 いきなり爆弾放り込んで来やがった!! 初日から女子と話してる男子なんておれしかいないから、周りのクラスメイトたちは、おれたちの話にこっそり聞き耳をそばだてている、のがわかる。 いや、違う、違うんだみんな、そして山口! みんな落ち着いて、おれの話を聞いて……! 「あいつは彼女じゃないし! 第一おれ、あのとき、山口のこと好きだったし!」 ……。 …………。 …………あれ? ……おれ、誤解を解こうと必死すぎて、ついでにめっちゃ余計なこと言ったか……? 「えっ、なっ、なに言ってるの深町くんっ……!?」 目の前の山口が、明らかに動揺している。 「えっ、なになに!?」 「今、告白したっ!?」 「うっそ、初日で!? しかも公開告白!?」 クラスメイトのガヤガヤのボリュームが、どんどん大きくなる。 こ、これ、おれ……、完全にやらかしたーっ!!
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