Ⅲ 颯(高校1年生)

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窓から差し込む光がまぶしくて、おれは目を覚ます。 やばい、そのまま机で寝ちゃったみたいだ。 時計を見ると、朝の七時過ぎ。 いつもならそろそろ、「おはようございまーす!」なんて、バカ明るい挨拶が聞こえる時間だけど、今日からはきっと聞こえない。 ……「きっと」どころか、「絶対」……。 「おっはよーございまーすっ!」 ……は? おれは反射的に自分の部屋を飛び出して、そのまま階段を駆け下りる。 すると玄関には、まったくいつもと同じように、岬が立っていた。 「あ、颯くんおはよ! なに、珍しく出迎えてくれちゃってぇ~!」 「……へ? え、いや、あの、おまえ、なんで……」 あまりにも普段と変わらない様子に、驚きすぎて言葉がでない。 なんだこいつ。昨日のこと忘れたのか。 それとも、『あれは颯くんじゃなかった』とか、なんか都合のいい解釈を考えたとでもいうのか。 キョドるおれに、岬は、なぜか挑戦的に笑った。 「そりゃー、ちょっとヘコみはするけど。でも、こちとら四年間片思いしてんの。たかだか知り会って一、二週間ごときの彼女に、負けてたまるもんですかっ!!」 ……。 …………。 ……………………。 こっわ。 感心通り越して恐怖に震えるおれと、「どやぁ!」なんて言いながら腕を組む岬。 「ほら、わたし、もう大人のレディですから? 雰囲気に流されてできたような高校生カップルなんかには動揺しませんよーだ! ってことで、お邪魔しま~す!」 ……恐怖通り越して、なんか、腹立ってきた。
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