82人が本棚に入れています
本棚に追加
/93ページ
INTERVAL 悪女たちのガールズトーク
どうやら、颯くんに彼女ができたらしい。
……颯くんの前では、いかにも「気にしてませんよ~」って感じで振舞ってみたけど、やっぱり、そんなの……。
「気にしない訳ないじゃーんっ!!」
昼休み。人影まばらな大学の教室でそう叫んで、机に突っ伏した。
「颯くんの彼女、かわいかった。目がくりんくりんで、髪の毛ふわふわで、お人形さんみたいだった……」
えみりがリプトンの紙パックを飲みながら、よしよしと、わたしの頭をなでる。
「ほんっと一途だねぇ、岬は。いっそ、この際新しい恋とかどうよ」
そんなえみりの言葉に、わたしは、ぶんぶんと首を横に振った。
「無理。だってわたしには、颯くんとの未来しか見えないもん……」
えみりは、呆れた顔でわたしを見る。
「そんなこと言って。じゃあ、岬はどうするつもりなの? その彼女から『颯くん』を奪う? まさか、その彼女と自然に別れるまで待つとか言うつもりじゃないでしょ?」
「……それは……」
奪う、って。なんか、それは良心が痛むというか。
そもそも、わたしに奪えるほどの魅力があるなら、この四年間、こんなに苦労はしてないはずで。
そうすると……。
「……自分を磨いて、待つ」
ぽそりと言ったその一言に、えみりは目をぱちくりさせた。
「……もう、岬、あんたって子はっ! ほんっと、いい子過ぎ!」
えみりは、わたしのセミロングの髪をわしゃわしゃとなで回した。
「え、えみりっ、ボサボサになっちゃうっ……!」
もう、また帰りの電車、颯くんと一緒になっちゃったら大変!
……なんて、考えちゃう自分が悔しい。
……でも。
最初のコメントを投稿しよう!