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「え? それ、どういう……」
「知らね。自分で考えて」
「えっ。も、もしかして、やっぱりハレンチな感じ……?」
「おれからしたら、岬のがよっぽどだわ!」
横目でそう呻く颯くんをよく見ると、まさかの、耳まで真っ赤で。
そんな颯くんを見てると、わたしの顔まで、また、みるみる熱くなって。
そ、颯くん。いくら思春期真っ盛りだからって、本当に大事な人のことは、ちゃんと大切にしてあげてねっ!?
あんなこと言ってみたけど、わたし、本当にワルくなりたくはないんだからっ!!
心配やら、でも心のどこかでは、やっぱりほんのちょっと嬉しいやら。
神さま、彼女さま、ごめんなさい。
今のところ完全に失恋状態だけど、せめて今だけは、颯くんの気持ち、ちょっとだけ分けてもらってもいいかな。
そう心の中で呟いて、わたしは、颯くんと並んで座るこの電車に、もうすこしだけ、ひたっていたいと思った。
……ま、電車を降りたあと、「あいつは彼女なんかじゃない」なんて話を颯くんから聞いて、嬉しさとあまりの恥ずかしさに、またちょっとびっくりして涙目になる羽目になっちゃうんだけどさ。
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