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「へぇ、K大! すごいね、頭いいんだ深町さん!」
「あ、いや、運がよかっただけなんすけどね……」
「ちょうど一人急に辞めちゃって、人手が足りなくて困ってたんだよねぇ」
そう言って、ゲーセンの店長は、茶封筒を取り出した。
「これ、契約書とかマニュアルね。深町さんさえよければ、明日からでも来てよ!」
……そうして、トントンと、おれのバイトは決まった。
K大パワー、すげぇ……。
帰りに、なんとなく店内の様子を覗く。
すると、なんか見たことのある後ろ姿が、女といちゃつきながらUFOキャッチャーで遊んでいた。
「……巧?」
「うわっ! ……え、颯じゃん! ひっさしぶり~!!」
そう言って、巧はおれの肩をバシンと叩く。いてぇ。
その振動かは知らないけれど、せっかく吊り上げられていた名探偵コナンの人形は、ストンと元あった場所へ落ちてしまった。
隣の女が「ぅあっ!!」と声を出す。
「たっくん先輩、落ちちゃった……」
「ひっ! そ、そんな縁起でもないこと言わないでぇっ!!」
……なんか、会って数秒だけど、お似合いだな。
そう思って、おれはにやりと笑った。
「いや、気にすんなよ。デートの邪魔しちゃ悪いからさ」
そんなおれの言葉に、今度は、おれの肩をがしっと掴んだ。
「そんなこと言うなよ~! これ取れたらちょうどマック寄ろうとしてたんだ、良かったら一緒に来いよ! おれの彼女紹介するし!」
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