Ⅳ 颯(高校3年生)

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結局、あのあと五百円玉を入れて、まさかの一発ゲットという適度な残念ぶりを見せた巧。 変わんないな、こいつ。そう苦笑いしながら、おれはシェイクをすする。 「あ、そうそう、この子、おれの彼女のアイちゃん!」 まだあどけなさが残る女の子が、ぺこりと頭を下げる。 「こいつ、小中一緒だった颯ね!」と紹介されて、おれも「あ、どーも」とあいさつした。 「颯、おまえ、受験どうしたんだよ。ゲーセンなんて一人でぶらぶらして~」 「推薦で受かりそうだから、あそこでバイトしようと思って」 「えっ、そうなの!? すっげ、さっすがぁ」 「巧は?」 「き、聞くなよ、それ。たまの息抜きくらいさせてよぉ~……」 そんなやりとりに、アイちゃんはふふっと笑う。 「……そういえば、巧のこと『先輩』って言ってたよね。アイちゃん何年生?」 「二年です」 「一個下か。やるじゃん、巧」 「あ、違います。中二です」 「えっ」 とっさに、巧の方を見た。 巧は、てれてれと頭を掻く。 「うちの学校の軽音、中高合同なんだよね。それで、かわいい子いるなーって」 そんな言葉に、アイちゃんも、同じようにてれてれとはにかんだ。 あ、へぇ~……。 「いいじゃん。巧、親御さんに殺されないようにしろよ」 「そ、それはっ! まぁ、善処します……」 なんだ、それ。 そう思いつつ、赤くなる二人を見て、自然と口元が緩む。 と、そこで、巧がおれをにらんだ。
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