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翌日、その予感は的中することになる。
いつものように朝の支度をして、いつものようにくつを履いて、いつものように家の扉を開けた、そのときだった。
なんか、いた。
「おはよう、颯くん!」
「……え」
絶句するおれとは対照的に、女子高生はニコニコとほほえむ。
「少しでも会いたくて。来ちゃった」
『来ちゃった』じゃない!
おれの頭のなかを、ストーカーという文字がうめつくす。恐怖でしかない。
身の危険を感じたおれは、女子高生の横をするりと抜けて、走り出した。
「あっ、颯くん!待って!」
待てるか!
風にのって走るおれは、完全に女子高生をまいたはずだった。なのに。
音だけでもわかる。うしろから聞こえてくる、力強いストライド。
それが少しずつ近づいてくる。
「あのっ、颯くん、待って、話だけでも!」
こいつ、女のくせに超速い。
怖い。
怖い怖い怖い!
「なんで……、こんな……、速……」
ついふり返ってしまったおれのつぶやきを耳ざとく聞いた岬が、なぜか自慢げに答える。
「わたし、中学時代、陸上部だったからね!」
はてしなくどうでもいい!!
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