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とうとうおれに追いついた女子高生は、すこしだけペースをゆるめておれと並走する。
これ、もう、意味ないじゃん。
おれはあきらめて止まった。息ができない、苦しい。
「颯くんも速いね! クラスでも速いほうでしょ」
そうだ。
わりと足の速さには自信があったのに、あっさり追いつかれたショーゲキに、もはや言葉もでない。
「あ、急にごめんね! 颯くんと連絡とりたくて、でもどうしていいかわからなくて、思わず待ちぶせちゃった」
「それ、ストーカーじゃん。もうやめてよ、こんなこと」
あきれるしかなかった。
そんなおれの言葉に、女子高生は分かりやすくショックを受けた顔をする。
「ストーカー……、なのかな」
「完全にそうでしょ! 女だってなるんだぞ、ストーカー!」
「そっか……。迷惑かけて、ごめんね。じゃあね!」
そう言って女子高生は走りさった。
目にはうっすら涙をためて。さっきと同じきれいなフォームで。
……まるで、おれが悪いことしたみたいになっている。
いやいや、おれは百パーセント悪くないっ!!
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