Ⅰ 颯(小学6年生)

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とうとうおれに追いついた女子高生は、すこしだけペースをゆるめておれと並走する。 これ、もう、意味ないじゃん。 おれはあきらめて止まった。息ができない、苦しい。 「颯くんも速いね! クラスでも速いほうでしょ」 そうだ。 わりと足の速さには自信があったのに、あっさり追いつかれたショーゲキに、もはや言葉もでない。 「あ、急にごめんね! 颯くんと連絡とりたくて、でもどうしていいかわからなくて、思わず待ちぶせちゃった」 「それ、ストーカーじゃん。もうやめてよ、こんなこと」 あきれるしかなかった。 そんなおれの言葉に、女子高生は分かりやすくショックを受けた顔をする。 「ストーカー……、なのかな」 「完全にそうでしょ! 女だってなるんだぞ、ストーカー!」 「そっか……。迷惑かけて、ごめんね。じゃあね!」 そう言って女子高生は走りさった。 目にはうっすら涙をためて。さっきと同じきれいなフォームで。 ……まるで、おれが悪いことしたみたいになっている。 いやいや、おれは百パーセント悪くないっ!!
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