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「ちなみに、将来の結婚とかの話、しないの?」
「けっ、結婚っ!? す、するっちゃするよ! 結婚したら毎朝おいしい朝ごはん作ってあげるー、とか」
「それは、岬が高校生のときからずーっと言ってるやつでしょうが。彼からは?」
「そ、颯くんからは、そんなに……、いや、ほとんど? めったに? まったく? 聞かないけど……」
わたしの言葉に、えっちゃんは苦笑いをする。
「まぁ、十九だもんねぇ。わたしたちも十九の時なんて、『ちょっと自由が増えた高校生』ぐらいの感覚で、毎日遊びまくってたもん。まだ考えるはずないか」
「ほんと。男ならなおさらかもね」
「それこそ、十九の頃のわたし、毎日サークルのみんなとバカばっかやってたわー」
「それなー。あたしも、色んな彼氏と付き合っては別れて。でもそんな日々が、いちばんの青春だったかなぁ~」
そういえば、あの頃のえみり、いっつもインカレの飲み会に参加しては、彼氏コロコロ変えてたような……。
十九歳。
颯くんにとっての、『青春』か……。
そんなことを悶々と考えてたら、ゆずちゃんが、ほにゃほにゃと声をあげた。
「あらら、眠いのかな。抱っこしようか~、ゆず~」
そう言って、えっちゃんはゆずちゃんを抱きかかえて、手際よく抱っこひもを取り付ける。
「すごい。なんか、『ママ』って感じだねー」
そんなえみりの言葉に、えっちゃんは、「まぁね」と笑った。
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