Ⅴ 岬(24歳)

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それから。 なんとか涙も落ち着いたわたしは、そのまま颯くんを連れて、いったん自分の家に戻った。 「岬さんと一緒に暮らさせて下さい」。 突然そう言われたお父さんは、昭和のコントのようにお茶を吹き出していた。 けど、颯くんのことを「あの子は歳の割にしっかりしている」といつも褒めているくらいだし、なにより、娘が八年前からずっと思い続けていることを十分理解しているので、 「もう、二人とも二十歳越えた大人なんだから、二人の好きなようにしなさい」 と、背中を押してくれたのだった。 また、せっかくだからと、その足で深町家にも伺った。 「岬ちゃん、もし颯とケンカしたら、実家だけじゃなくて、ウチにも帰って来ていいんだからねっ!?」 「いや、なんでだよ」 「あと颯、ちゃんとするところはちゃんとしときなさいよっ。そうじゃないと、お母さんたち、岬ちゃんの親御さんに顔向けできないからねっ」 「な、なんの話だよ……」 と、心強すぎる承諾も得て、かくして、わたしたちは少しずつ、引っ越しの準備を進めていくことに決まったのだった。
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