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「どうしても、明日の朝ごはん作りたいんだ。颯くんに、亜希子さんみたいなおいしい朝ごはんを毎朝作るの、ずうっと夢だったから」
それは、八年前から、ずっとわたしの夢で。
栄養士の仕事を選んだのも、全て、このためで。
言うまでもないけど、これが、颯くんのプロポーズに対するわたしの答えだよ。受け取ってね、颯くん。
……そんな風に思っていたのに、颯くんはといえば、なぜかきょとんとした顔をする。
えっ、なんでっ!?
ここ、わたしの中では、八年越しの思いがとうとう実る超大事なシーンなんだけど!
そう思っていると、颯くんは、ぼそっと呟く。
「……明日の朝ごはんも嬉しいけど、その前も忘れないようにね」
「……前?」
「ほら、この前言っといたじゃん。『プレゼントは、ワ・タ・シ』」
……な、なな、ななななっ……!?
「……颯くんのエロガキっ!!」
「ひっでー言われよう!!」
ぜ、ぜぜぜ、前言撤回!!
ぜんっぜん、かわいくないっ!!
「どれだけ大人になろうと背伸びしても、体だけはお年頃なもので」。
そんな颯くんの発言に、また、どぎまぎが止まらない。
ま、ままま、まったく、昔はあんなに天使だったのに! 余計なことまで覚えちゃって!
……なんて……。
一応、新しい下着なんて買っちゃったわたしも、颯くんのこと言えないんだけど……、さ。
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