Ⅴ 岬(24歳)

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「どうしても、明日の朝ごはん作りたいんだ。颯くんに、亜希子さんみたいなおいしい朝ごはんを毎朝作るの、ずうっと夢だったから」 それは、八年前から、ずっとわたしの夢で。 栄養士の仕事を選んだのも、全て、このためで。 言うまでもないけど、これが、颯くんのプロポーズに対するわたしの答えだよ。受け取ってね、颯くん。 ……そんな風に思っていたのに、颯くんはといえば、なぜかきょとんとした顔をする。 えっ、なんでっ!? ここ、わたしの中では、八年越しの思いがとうとう実る超大事なシーンなんだけど! そう思っていると、颯くんは、ぼそっと呟く。 「……明日の朝ごはんも嬉しいけど、その前も忘れないようにね」 「……前?」 「ほら、この前言っといたじゃん。『プレゼントは、ワ・タ・シ』」 ……な、なな、ななななっ……!? 「……颯くんのエロガキっ!!」 「ひっでー言われよう!!」 ぜ、ぜぜぜ、前言撤回!! ぜんっぜん、かわいくないっ!! 「どれだけ大人になろうと背伸びしても、体だけはお年頃なもので」。 そんな颯くんの発言に、また、どぎまぎが止まらない。 ま、ままま、まったく、昔はあんなに天使だったのに! 余計なことまで覚えちゃって! ……なんて……。 一応、新しい下着なんて買っちゃったわたしも、颯くんのこと言えないんだけど……、さ。
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