Ⅴ 岬(24歳)

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「とっ、とにかくっ! スーパー行くよっ!」 「はいはい。じゃあ、夕飯はおれが作ろうかなぁ」 「えっ、颯くん、作れるの?」 「チャーハンとか焼きそばで良ければ」 「た、食べた過ぎるっ!! いっそ持ち帰り分もお願いしたいっ!!」 「今更どこに持ち帰る気だよ」 そんな幸せな会話をしながら、わたしたちは出かける準備をする。 わたしたち、歳をとってもどこかしらはきっと、小学生のままとか、中学生のままとか、高校生のまま、大学生のままで。 変わらない部分と、変わっていく部分。 それを、お互い、楽しめるといいよね。 ──これからも、ずっと。 「岬、鍵締めてきてー」 「あー、颯くん待ってーっ!」 他愛ない会話も、愛おしくって。 颯くんに続いて靴を履いて、ふと、これからお世話になる新居の廊下をふり向く。 「……いってきます」 そうつぶやいたあと、言われた通りちゃんと部屋の鍵をかける。 そして、すこし折れていたピンクのワンピースの裾を直してから、颯くんの背中を追いかけていった。 おしまい。
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