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「とっ、とにかくっ! スーパー行くよっ!」
「はいはい。じゃあ、夕飯はおれが作ろうかなぁ」
「えっ、颯くん、作れるの?」
「チャーハンとか焼きそばで良ければ」
「た、食べた過ぎるっ!! いっそ持ち帰り分もお願いしたいっ!!」
「今更どこに持ち帰る気だよ」
そんな幸せな会話をしながら、わたしたちは出かける準備をする。
わたしたち、歳をとってもどこかしらはきっと、小学生のままとか、中学生のままとか、高校生のまま、大学生のままで。
変わらない部分と、変わっていく部分。
それを、お互い、楽しめるといいよね。
──これからも、ずっと。
「岬、鍵締めてきてー」
「あー、颯くん待ってーっ!」
他愛ない会話も、愛おしくって。
颯くんに続いて靴を履いて、ふと、これからお世話になる新居の廊下をふり向く。
「……いってきます」
そうつぶやいたあと、言われた通りちゃんと部屋の鍵をかける。
そして、すこし折れていたピンクのワンピースの裾を直してから、颯くんの背中を追いかけていった。
おしまい。
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