Timeless

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  前触れもなく人が死んでしまった時、そしてそれを知らされた時、『今』という一瞬はまるで永遠のように長く透明に感じられた。訃報を聞いた瞬間、その直前まで自分が一体何をしていたのかわからなくなり、体そのものは心臓になってしまったみたいにばくばくとうるさくて、この世界全てが信じられなくなって、まるで夢の中にいるような感覚になったのは、人生で初めてだった。  親戚のおじさんが死んだ時も、ひいおじいちゃんが死んだ時も、そんな風には感じなかったのに、おばあちゃんが死んだことは、すぐに受け入れられなかった。    母からの電話口で動揺していた私は、きっとうまく返事ができていなかったのだろう、母がときどき、ねえ、聞いてる? わかってる? と聞いてきていて、その度にハッとして、うん、大丈夫、聞いてる、と聞いてもないのに返事をしたことは覚えている。もう会話にならないと判断して諦めたのだろう、後でLINEで送るわ、と言って母が電話を切った。  
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