Timeless

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 溜まっていた疲れが波のように押し寄せてきて、頭が痛くなってきた。このまま眠ってしまいたい。残業で疲れ果ててお風呂へ入る気力を失せた時のための、ベッドサイドに置いてあるメイク落としシートをとり、荒くたく、半ば投げやりに顔を拭く。拭き取られたファンデーションと、アイシャドウの混ざった色が汚くて、捨てた。新しいシートでもう一度拭くと、シートに染み込んでいるクレンジング液が目に染み込んで痛み、涙が出た。 「痛ったぁ……もう何なの……」  ごしごしと目を擦ると、どんどん涙が流れてきた。鼻がじん、と痛くなる。鼻水を啜る頃には涙はとめどなく溢れ続け、手はびしょびしょになった。胸の辺りが熱い。いつか来る別れの日取りなんて誰にも選べないから、いつ何があったっておかしくないんだけれど、それでもやっぱり、急すぎる。どうしても寂しい。胸張り裂けそうになりながらも、静かに泣いた。私は家族の誰よりも泣き虫だから、今のうちに泣いておいた方がいいのだ。泣き疲れたのちに、がんがんと脈打つ頭痛に苦しみながらもm深い海底に沈んでいくように眠った。
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