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憂鬱の始まり
我が家へようこそ北斗くん。
北斗と名付けたのは姉だった。
北斗の拳からじゃないらしい。当時DASH村という番組の中で北斗という柴犬が飼われていた。姉はそれが好きだったからパクった様だった。あとは、北斗七星の意味が込められているらしい。なんて安易な発想だろう。
其れでも可愛いから私には何でも良かった。
北ちゃん、北くんと呼んで可愛がった。
居場所が無かった私に、北斗は理由をくれた気がした。それが小学4年生の時。
我が家の重たかった空気を北斗は柔らしいものに変えた。ピリピリしていた母も幾らか穏やかになり、家族での会話も増えた。
姉だけが相変わらずだった。
暫くして学校が夏休みに入った。
夏休みは嫌いだった。
特にすることもないし、毎日友達と会えるわけじゃないし膨大な宿題。書くことなんて特に無いのに付けなきゃいけない日記。
毎日参加のラジオ体操。
憂鬱でしか無かった。何も嬉しくない。
そして何より、機嫌の悪い姉と同じ家にいるのが嫌だった。
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