ゆきな。

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ゆきな。

「きよかの机、調べてみない?」 その提案に乗り気では無かった私は、やめときなよと諭した。 だけどゆきなは次々に棚を開いた。 「このメモ帳可愛い!欲しい。」 と彼女が言う。 目を輝かせて見せてくるものだから、可愛いねと返事をした。 そして次にゆきなが取った行動が信じられなかった。 「こんなに枚数あるんだから、少しくらい貰っても良いよね。」 当然やめときなよ。駄目だよ。 と言ったが、其れを無視して付箋タイプの様になってるメモ帳から何枚か剥がし出した。 その時だった。 きよかが2階へ上がってくる足音が聞こえた。 トン、トン、トン、トン。 その音に合わせて私の鼓動も早くなった。 私達は慌てて隠す事になった。 冷や汗を隠しながらその日は夕方5時のチャイムが鳴る前に帰った。 長居したくない気持ちだった。 自分が取ったわけではないのに何だかとても悪いことをした気でいた。 いつ言おうか、いつ言おうかと思ってるうちに事件になった。 ゆきなの事が心底嫌いになった日である。
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