ゆきな。

1/1
前へ
/48ページ
次へ

ゆきな。

学校では犯人探しが始まった。 きよかは誰が取ったか本当は知っている筈だ。 なのに皆んなの前で、総合の時間を潰してまでも事件にしたのだ。 ゆきなに名乗り出て欲しいと思った。 巻き込まないでくれよと思った。 先生が皆に顔を伏せる様に言う。 心当たりのある人は手を上げる様にと、当然誰も上げないのできよかはさらに怒った。 掃除の時間になり、班が一緒のきよかが話しかけてきた。 「あいかちゃん、本当は知ってるんでしょ?」 その言葉に生唾を飲んだ。 そして正直に言う事にした。 「ゆきなが取るの見たよ。」 きよかからは何で教えてくれないの?最低と言われた。 ごめん、と言うしかなかった。 そしてきよかから言われたのは 「私と友達でいたいならゆきなと関わらないで。」 だった。 言われなくても関わるもんかと思った。 きよかが許してくれたからそっと胸を撫で下ろした。 でもこの事件が、次に繋がるとはこの時思いもしなかった。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加