憂鬱の始まり

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憂鬱の始まり

やっぱり姉の機嫌は優れなかった。 真夏に長袖長ズボンで出かけたり、友達と会ってるのか何してるのか分からないけど、夕飯時には必ず帰ってきた。 当然の様に両親の関心は姉へ向いた。 私が何話しかけても上の空。 ほら、また無視が始まった。 お姉ちゃんなんて居なくなっちゃえば良いのにな。怒ってばっかり、優しくもないし、嫌いだな。 ある日、我が家で柴犬を飼う話が話題に上がった。如何やら姉が欲しいと言い出したらしい。 動物が大好きな私は万々歳だった。 でも、犬や猫が苦手な母が猛反対した。 それでも犬を飼いたかった姉が説得した。 そして家族でブリーダーさんの所を訪ねる事になり、2軒目で雄の豆柴を買う事が決まった。 私的には真っ白な雌の豆柴が良かったけれど、飼育が大変だからと却下された。 いつだって意見が通るのは姉なんだなと拗ねたけど、まだ小さい北斗と名付けられた豆柴は大変可愛かった。 ぬいぐるみみたいにふわふわしていた。
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