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深度
長い休日の街に彷徨う
連写される景色は都合よく不自然な真実を
切り抜かれたコマ割りで
いびつに繋がるスライド写真
忘れ去られた人は忘れ去られたまま
無意味にスクリーンに投射された瞬間から
用済みのフィルムが燃えている
足もとは仮想ではなく短い現実
喪失と忘却の記憶は消して読み解く閲覧履歴
歩きながら沈んで行くアスファルトの上で
見つけた石粒の隙間に迷い込む
私の番は何処にいる
我泣き濡れて酒と戯る
悲しみに酔いが廻り深々と心は浮いて
見る夢の儚さよ
急いで駆け付けた良識は役立たず
そろそろと紫陽花が梅雨を呼ぶ
朝な夕なに影は消え体液を奪う脱脂綿
詰みすぎた夢の積み木は砂上の楼閣
目に映るものがやっと
動画とゲームの間に人生を埋めるのは
蹲る自分をデリートするための定石
なのに返して欲しいのは自分の中の人
たわいない自己顕示欲の涯の馬鹿騒ぎと凶行
青青とした空はパンフレットに載せて
シルクリーンで刷り込まれた
色色な人が歩いている風
鋭利な円錐の上の薄い鉄板はいずれ起こる
重大災害の布石表の面と裏面
エッシャーの滝とメビウスの輪腹黒い面を隠すよう
水平垂直鏡の歪み説明書の不備は説明済み
私の事は探さないでと失踪者の事は
あらかし予め誰も探す事は無い
鋭い嗅覚は跳ね子の種沙羅双樹も朽ちるだけ
正しすぎては弱すぎて隠して演じて故に隠者となる
盛者必衰あたりまえ諸行無常は御手のもの
ようよう白くなりたる瀬戸際
不思議の国のアリスはいつでもどこでも精神疾患
太宰に限らず人間失格誰も観ないで鏡の中は
少しあかりて嘘笑い
それにつけても鉄塔は端から端まで役に立ち
何も語らずそこにいる
天知る血知る親知らず
素知らぬ顔のメンタリティ
愉快怪界妖怪だらけ不夜城新宿百鬼夜行
長い休日いつまでや
しんどしんどと夜が言う
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