おとぎ話をあなたに。

人魚姫

泳いだことなんてほとんどなくて、
中学の授業でも２５ｍを泳ぐのが精いっぱい。
なんならクロールなんて半分溺れているかのような
フォームだった。
そんな僕をみて水泳部の人たちのほとんどが笑っていた。
でも、彼女だけは笑わず、少しむっとした表情をしていた。

入学して練習を続けるけど上達はせず
ずっとバシャバシャと泳いでいる。
上手くならない僕をみんなは疎ましく。
どんどんプールに入ることができないように
掃除や部の用品の整理を頼むようになってきた。

そんな中でも人魚姫は素人目にでもわかるほど
上達し、県内だけでなく国内でも
名を轟かすようになった。