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しかし、大学二年目の初夏。突然幼馴染が亡くなった。死因は自殺だった。意味が分からなかった。
俺は幼馴染が自殺するほど追い込まれていたことに気づかなかった。幼馴染が自殺する前日も俺はいつものように幼馴染を抱いたし、その時に不審な点は無かったと思う。慣れたその行為に幼馴染は啼いていたし、その後も他愛も無い話をしていた。いつも通りのやり取りで、自殺するほど思い詰めていたようには見えなかった。
それでも、その次の日の夜、幼馴染は一人暮らしの自宅で首を吊った。第一発見者は俺だった。
前日には翌日に控えている講義が面倒だと話していたのに、幼馴染は大学に姿を現さなかった。不思議に思った俺は念の為メッセージを送ったが、返信は返ってこず、俺に連絡もなく休むのは珍しいことであり、突然連絡がつかなくなった幼馴染を心配して様子を見に家に行った。
一人暮らしを始めた時に、好きなように幼馴染を扱う為に無理矢理奪った合鍵を使って勝手に入ると、ロフトから垂らしたロープに、幼馴染はぶら下がっていた。
あの時の光景は俺の目に焼きつき、目を閉じればいつでも鮮明に思い出す。
俺は心底後悔した。幼馴染が苦しんでいたことに気づけなかった。苦しんでいたのはきっと俺のせいだ。何年も幼馴染の心を蝕み続け、こんな事になるまで追い詰めてしまった。自分のしてきた過ちにただただ後悔した。
そして、俺は幼馴染が亡くなってから初めて気づいた。俺が幼馴染に抱いていた好きという感情が、恋愛としてだったということに。苛立ちも傍に縛り付けたかったのも、好きで嫉妬していたからだということに。
だが今更気づいても遅い。どんなに悔やんでもそれを伝える相手はもうこの世にはいない。
俺が殺したも同然だった。毎日泣いた。毎日自分を呪った。
大学に行く気力をなくし、ご飯も食べれなくなり、全てに無気力になって生きる気力を無くした。
ただ、毎日毎日泣きながら謝り続けた。そして毎日願い続けた。間違いを起こしてしまったあの日に戻りたいと。もう一度人生をやり直せるなら、次は幼馴染を幸せにしてやりたいと。もう二度と間違いは起こさないと。
今度こそは、間違わない。絶対に幼馴染を幸せにするから、あの日に戻して欲しいと、俺はそう願い続けたんだ。
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